2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の起床時体温低値は、習慣的な運動で改善できるか?
Project/Area Number |
21700675
|
Research Institution | Uekusa Gakuen University |
Principal Investigator |
小泉 佳右 Uekusa Gakuen University, 発達教育学部, 講師 (20425359)
|
Keywords | 幼児 / 体温 / 運動 / 自律神経 / 身体活動量 / 組織血液量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの先行研究に基づき立てられた仮説である、起床時の体温が低い幼児を対象にして、習慣的な運動によって体温低値を改善できるかどうかについて検証し、その生理学的背景を明らかにすることであった。そのために、起床時体温低値児の体温変動の特性を把握し、さらに起床時体温低値児の運動と生理諸機能との関係を調査した。 まず第1段階では、幼稚園年長児96名を対象者とし、鼓膜温を、起床直後、登園直後、昼食直前、夕食直前及び就寝直前の5回にわたって測定した。起床直後の体温より、全体の平均値から標準偏差を減じた値よりも低い体温の示した対象者9名を「起床時体温低値群」、全体の平均値よりも高かった対象者35名を「比較対照群」とした。測定項目は、鼓膜温のほか、生活習慣(就寝時刻、起床時刻、睡眠時間、食事時刻)に関する保護者対象アンケート、1日の身体活動量と歩数であった。その結果、起床時体温低値群では比較対照群に比べて、起床直後、夕食直前及び就寝直前の鼓膜温が低かった。また、起床時体温低値群の鼓膜温は、起床直後に比べ昼食直前には有意に高かった。 次に第2段階として、体温低値児の生理学的特性について、特に自律神経機能及び血流動態の観点から調査した。幼稚園年長児を対象に起床直後の鼓膜温測定を実施し、第1段階と同様の方法で対象者を区分し、「起床時体温低値群」として8名、「比較対照群」として8名を抽出した。測定項目は、鼓膜温のほか、安静時及び手掌掌握運動中における心臓自律神経系活動測定及び前腕部血液量変化値であった。その結果、起床時体温低値群では、掌握運動中における心臓副交感神経活動が低かった可能性が示唆された。 以上のことから、起床時体温が低い幼児では、昼食前には体温は高まるが、夕方及び就寝前には体温は再び低下し、また低負荷運動中の心臓副交感神経活動が低い可能性が考えられた。
|