2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護予防ボランティア活動が中高年者のメンタルヘルスに及ぼす影響
Project/Area Number |
21700685
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute |
Principal Investigator |
甲斐 裕子 (財)明治安田厚生事業団体力医学研究所, 研究員 (20450752)
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Keywords | ボランティア / メンタルヘルス / 身体活動 / 地域保健 / 地域介入研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、身体活動の促進によって介護予防を目指すボランティア活動が心理面に及ぼす影響を明らかにすることであった。まず、介護予防ボランティアへの参加がボランティア自身の心理面に及ぼす直接効果を検証し(研究1)、次にモデル地区を設定し、その地区のボランティア活動の活性化が地域全体の高齢者の心理面に及ぼす波及効果を検証した(研究2)。 研究1については、約4ヶ月間の介護予防ボランティアに参加した群としなかった群で自尊心と生活満足度を比較した。その結果、自尊心は両群ともほとんど変化しなかったが、生活満足度の変化には違いが認められた。ボランティアに参加しなかった群では生活満足度が低下したのに対して、参加した群ではわずかに向上がみられた。介護予防ボランティアへの参加は、中高年者の生活満足度を向上させる可能性が示唆された。 研究2については、介入地域ではボランティア活動を活性化させ、対照地区では特に介入を行わなかった。地域高齢者全体から無作為抽出による郵送調査を行い、経年的な変化を比較した。介入期間中に55名の介護予防ボランティアが養成され、約7カ所の活動拠点が創出された。介入地区では、対照地区と比べてボランティア活動の認知度が向上した。さらに、身体活動量と抑うつの変化を検証した。その結果、対照地区では身体活動量・抑うつともにほとんど変化がなかった。一方、介入地区では、週2回以上の運動実践者が増加し、抑うつ傾向が減少した。 本研究によって、身体活動を支援する介護ボランティア活動はボランティア自身の生活満足度に好影響を与えること、さらには地域全体の高齢者の身体活動を促進し、抑うつ改善に寄与する可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)