2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化のリスクファクターに及ぼすリグノフェノールの生理作用の解明
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21700740
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
乗鞍 敏夫 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 助教 (40468111)
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Keywords | 動脈硬化 / メタボリックシンドローム / リグニン / バイオマス |
Research Abstract |
過剰栄養と運動不足は、動脈硬化のリスクファクターであるアディポサイトカインの分泌異常、脂質代謝異常、糖尿病、高血圧を招き、動脈硬化を進行させることが知られている。 リグニンは、セルロースに次いで植物体に最も多く存在する有機物であるが、植物体に最も多く存在する有機物であるが、これまで植物体から抽出することが困難であったために、ほとんど利用されていない。ところが、近年開発された「相分離システム」によって、リグニンは植物性ポリフェノールであるリグノフェノール(以下LP)として抽出できるようになった。 本研究は、産業廃棄物から得たLPの新たな生理作用の解明をを目差し、脂質代謝異常とアディポサイトカインの分泌異常に重点を置いて、「LPは、動脈硬化のリスクファクターを改善するのか」を明らかとすることを目的としている。 平成21年度は、ヒト肝細胞(HepG2細胞)にオレイン酸を添加した脂質代謝異常モデルを用いて、肝臓における脂質代謝に及ぼすLPの生理作用を調べたところ、以下の新しい知見を得た。 ● LPは、オレイン酸添加によるHepG2細胞からのアポ-Bの過剰分泌を抑制した。 ● LPは、オレイン酸添加によるSREBP-2の活性化を抑制し、細胞内総コレステロールの過剰蓄積を抑制した。 ● LPは、MTTPのmRNAの発現を抑制した。 これらの結果より、LPはアポBの過剰分泌の抑制をすることで、脂質代謝異常を改善する生理作用を有することが示唆された。さらに、その作用機構は、コレステロール代謝を担うSREBP-2の活性化の抑制によるコレステロールの過剰蓄積の抑制、アポB分泌のマスターレギュレーターであるMTTPの転写抑制が関与することを明らかとした。
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Research Products
(3 results)