2009 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化による米の食味劣化機構の解明と画像解析に基づいた米の新規食味評価法の確立
Project/Area Number |
21700744
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
筒井 和美 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (50435278)
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Keywords | 米 / 乳心白米 / 食味評価 / 破断特性 / SEM / 画像解析 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
地球温暖化にともなう気温上昇は、米の収穫に被害を及ぼす。例えば、高温障害により乳心白米・背白米(白色不透明部を有する米)や胴割米(胴が割れた米)等が多く発生し、米の品質や収量は低下する。これは食糧問題や環境問題につながるが、高温障害を受けた米の食味劣化に関する研究例は少ない。本研究では、高温障害米の食味に関わる物理化学的特性を調べ、食味劣化の原因や機構を明らかにすると共に、画像解析に基づいた米の新規食味評価法の確立をめざした。 平成21年度は、高温障害米として知られる乳心白米に着目し、米澱粉の構造や飯の食味について調べた。試料には「平成21年度新潟県三条市産コシヒカリ」を用い、整粒(乳心白を有しない透明な米粒)と乳心白粒に分類し、各千粒の重量(千粒重)を計量した。澱粉の構造を調べるために玄米のSEM観察(KEYENCE製VE9800)や、サーモシェーカーで炊飯した飯1粒の食感(硬さ)を調べるため破断測定を25℃にて行った。なお、米の画像は、予め高解像度スキャナーで取り込み、解析しておいた。 乳心白粒の千粒重は、整粒のそれに比べ軽かった。SEM観察を行うと、乳心白粒の乳心白部では丸みを帯びた澱粉の存在が確認できたが、整粒は背側、中央部、腹側において、均一な多角形の澱粉粒を形成していた。破断測定では、乳心白粒は整粒に対し破断荷重が小さく、乳心白部の面積が大きくなると破断荷重は低下する傾向があった。澱粉の構造は、飯の破断特性、すなわち米の食味を構成する一因子であると推察できるが、現在、高温障害米の食味と他の物理化学的特性との関係について検討している。
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