2009 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動を通じた総合的課題解決能力の育成を目的とする教養教育の指針づくり
Project/Area Number |
21700822
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 容市 Chiba Institute of Technology, 工学部, 助教 (40400668)
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Keywords | インストラクショナルデザイン / 自己効力感 / コミュニケーション行動 / 教養教育 |
Research Abstract |
教養教育における体育・スポーツ関連科目では,科目の意義や必要性を踏まえるに留まらず,大学の求める教育理念等を含めた上で,様々な能力の育成が重要視されるべきである.本研究では,教養教育としてのスポーツ・体育関連科目における身体活動を通じて,社会的コミュニケーション能力や実践力,適応力の育成が可能となるために含まれるべき諸要因を検討し,単なる健康づくりや運動時間の確保に留まらない,高等教育において期待される課題解決能力の育成を目指した授業展開の指針づくりを進める.初年度(平成21年度)は,身体活動を通じた構想力や問題設定力,コミュニケーション能力等のデザイン能力の育成を意図した授業を展開し,従来実践されていた授業と比較することにより新たな授業の効果を検証した.具体的には,大学での教養教育として実践されているスポーツ・体育関連の3つの授業それぞれにおいて,学生の活動,教員からの指示・指導が異なる内容を適用した.その結果,授業中の実技課題に対し,学習者間のグループ・ディスカッションを通じて全く自由に活動内容を決定させた授業の学生と比較して,複数選択肢から活動内容を選択させた上で実技を実践させる教授方略を用いた授業の学生において,授業後のコミュニケーション行動に関する自己効力感や満足度がより高値を示した(大学体育学7:41-56,2010).このような自己効力感などにおける効果は,将来の種々の実務場面においても転化が期待でき,学生の課題解決能力育成に有益であると推察される.最終年度である平成22年度は,初年度から継続して新たな教授方略の検討を進めるとともに,授業で得られたコミュニケーション行動に関する自己効力感などの高まりが,学生の日常生活における種々の場面に転化される程度について調査・検討を進める予定である.
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