2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700843
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 幹泰 金沢工業大学, 環境・建築学部, 准教授 (10329089)
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Keywords | 産業考古学 / 馬車鉄道 |
Research Abstract |
本年度の研究目的である、収集した資料と遺構調査の成果に基づく車両の復原考察を行った。5月から12月にかけては、石川県庁に残されていた、明治期の公文書の解読を行った。「山中軌道一件」(明治31年度)は設立認可に関する書類、大聖寺駅構内図、路線の計画図、客車の図面、線路の断面図など、山中馬車鉄道初期の書類群であった。客車の図面は簡略なものであるが、失われた庇やデッキ部分の形状、寸法など、復原考察において必要な情報が記されていた。また、設立後の営業報告書、運賃改定に関する書類など経営状況を示す書類、馬車から石油発動車への転換の計画があったことを示す動力変更願などにより、馬車鉄道からの脱却が早い時期から検討されていたことが明らかになった。「山中軌道一件」(明治44年度)は、主に馬車鉄道の電化への転換に関する書類であり、大聖寺水力発電所の設置が契機となったこと、車両を二車連結して輸送力の増強を図ることが目的であったこと、工事の計画や電気鉄道転換後の運賃や時刻表など、明治43年の株主総会資料と県への申請書を中心に、この時期自社のみでの事業転換が進められていた状況が明らかになった。 一方で、遺構に関する復原考察については、比較対象となる他の馬車鉄道の車両の現存は確認できず、狭山市立博物館にある入間馬車鉄道の復原車両についても復原の根拠が不明であることから、参考とするのは困難であることが明らかになった。そのため、1月以降、実測図面と上述の客車図面をあわせて考察を行い、復原案を作成した。また、成果の公表として、昨年度発表した論文をPDFファイルとして、自らのホームページにおいて公開した。
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Research Products
(1 results)