2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710102
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 義弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50506730)
|
Keywords | ナノ材料 / 表面・界面物性 / 格子欠陥 / 磁性 / 物性理論 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体は発光デバイスのみならず、スピントロニクス材料の候補としても重要であり、実際GdやCrをドープしたGaNでは室温強磁性が報告されている。半導体バルク中のみならず、窒化物半導体と非磁性材料とのヘテロ界面においても磁性の発現が期待され、DFTに基づく第一原理計算による詳細な物性予測が望まれている。そこで本研究課題では、格子整合性の高い窒化物半導体/ホウ素化合物界面に着目し、密度汎関数法による第一原理計算を行った。様々な界面原子構造を検討し、最安定となる界面原子構造を同定した。AlN/Mg2(0001)界面において強磁性的スピン分極が安定となるという結果を得た。スピン分極は界面に局在しているという意味で2次元的であり、強磁性状態の起源は窒素原子の2p//状態のスピン分極によるものである事を明らかにした。等方的Heisenbergモデルでは2次元強磁性は実現しないが、現実の系では界面垂直方向に対して対称性がないため、強磁性状態は許容される。実際、上記スピン分極2p//状態は界面垂直方向の非等方性により変形している。また、原子構造からは界面での化学結合は飽和している様に見えるため、このスピン分極は電子状態を実際に計算しなければ予測する事は出来ない事が特徴である。AlN/MgB2(0001)界面における窒素2p//状態の局所状態密度を計算しニッケルおよび鉄の状態密度と比較した結果、Fermi準位近傍においてスピン分極によりピーク位置がFermi準位からずれているという意味において類似している事が分かった。また、窒素2p//状態の局所状態密度はBloch状態となった後においても完全に2重縮退しており、AlN/MgB2(0001)界面における界面強磁性はHund結合とFermi準位近傍の高い局所状態密度によるバンド強磁性であると考えられる。
|