2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 義弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50506730)
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Keywords | ナノ材料 / 表面・界面物性 / 格子欠陥 / 磁性 / 物性理論 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
GaN等の窒化物半導体を成長させ、他基盤に移植する事は重要である。また、グラフェンは基礎的興味のみならず、ナノエレクトロニクスにおける応用においても期待されている。グラファイト基盤上にGaNをパルスレーザー堆積法により成長させた実験が最近報告されており、グラファイト/GaN界面からグラフェン/GaN界面を力学的引きはがしやレーザー照射等により得る事は可能であると考えられる。グラファイトあるいはグラフェンとGaNの界面に対して第一原理計算は既に報告されているものの、グラフェン/GaN界面としてはlxl周期しか考慮されていない。そこで、本研究では様々な周期構造を第一原理計算により検討し、再安定構造を予測した。 第一原理計算はOpenMXコードを用い、密度汎関数理論の一般化密度勾配近似によるPBE汎関数により行った。グラフェンは2次元物質であるため、その上におけるGaNの成長に伴いGaNの格子定数に応じて引っ張りの応力を受ける。この状況はグラファイトにおいても、グラファイト層間の相互作用が弱いため同様である。本研究による検討の結果、グラフェン/GaN界面においてはこの引っ張り応力によりグラフェンのC-C結合が一部切断され、C-N-C結合が形成される事が分かった。この圧力誘起構造相転移はグラフェン/ALN界面では起こらない事も分かった。また、これら両界面の電子基底状態はスピン分極するものの、GaN/MgB_2界面と異なり強磁性は安定化せず超常磁性を示すと結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は実験的に作成されているGaN/グラファイト(グラフェン)ナノ構造の構造と電子状態を解析し、グラフェンのハニカム構造の部分的な結合の切れ、すなわち固有欠陥がナノ界面の再安定状態に含まれる事を明らかにした。しかも、その際の電子状態が超常磁性である事も明らかにし、そのメカニズムを議論した。これは、当初の計画を上回る非常に顕著な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、磁性原子および空孔、格子間原子、複空孔等の固有点欠陥を検討する。による界面磁性の発現および制御を目指す。昨年度までに、AIN/MgB2界面およびGaN/ZrB2界面、さらにGaN/グラフェン界面の構造と電子状態を理論解析し、非常に顕著な成果をあげた。本年度も、強力に実証計算と理論予測を推進し、物質設計と新奇現象の開拓とそのメカニズムの解明を目指す。これらの理論解析は、界面の原子スケールでの制御・物性予測への第一歩としても意義深いと考えられる。本研究により得られる界面スピン物性を制御する指針によりナノ界面磁性材料設計が飛躍的に進展する事が期待される。
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