2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジャイナ教論理学と仏教論理学の比較研究:仏教説に対するアカランカの差異意識
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21720017
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
志賀 浄邦 Kyoto Sangyo University, 文化学部, 講師 (60440872)
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Keywords | ジャイナ教 / 仏教 / 論理学 / アカランカ / ダルマキールティ / インド / 仏教論理学 / ジャイナ教論理学 |
Research Abstract |
本研究は二つの側面-原典研究と思想研究-から進めているが,本年度は,主に原典研究を中心に行った。具体的には,ジャイナ教論理学者アカランカの著作『論理の決定』第2章(推理章)およびそれに対するヴァーディラージャ・スーリによる注釈書(=『論理の決定・注解』)のテキストの電子データ化および校訂テキストの作成を行った。 テキストの電子化によって,同テキスト内の相互参照・用例検索が可能となった他,仏教文献を含む他学派の文献からの数多くの引用関係を確認できた。現代語への翻訳にも着手しているが,『論理の決定』第2章全体の現代語訳の完成には至っていない。しかしながら,今まで謎に包まれていたアカランカの思想および論理学の体系の全貌が少しずつ明らかになりつつある。 その他本研究は,ジャイナ教論理学と仏教論理学の比較研究であるため,仏教論理学の側,特にダルマキールティの思想・論理体系についての研究が欠かせない。仏教論理学分野の研究成果としては,2009年9月に京都大学で行われた第14回国際サンスクリット学会において,「Some remarks on the origin of all-inclusive pervasion」というタイトルで口頭発表を行った。この成果は,来年度初旬に出版予定の海外の学術雑誌(Journal of Indian philosophy)に掲載される予定である。また2009年10月には,「Tattvasamgraha及びTattvasamgrahapanjika第18章「推理の考察(Anumana-pariksa)」和訳と訳注(3)」というタイトルの論文を発表した。その他,2010年3月には,「インド仏教復興運動の軌跡とその現況」という論文を発表した。この成果は,本研究テーマと直接的には関係しないものの,今後インド古典学に現代的視点を導入する契機としたいと考えている。
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Research Products
(3 results)