2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝澤 克彦 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 助教 (80516691)
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Keywords | モンゴル / 宗教社会学 / 宣教 / 聖書翻訳 |
Research Abstract |
本年度は、ウランバートル市においてキリスト教会の調査を行い、また英国およびスウェーデンにおいて社会主義以前のモンゴルにおけるキリスト教伝道に関する資料収集を行った。 ウランバートル市の調査では、教会活動主体が外国人からモンゴル人へと次第に移行していることが明らかになった。また、聖書の改訳作業に関する資料を収集し、1990年以降に始まる現代モンゴル語への聖書翻訳において、特に最近の傾向としては重点が意味内容の翻訳よりも文学的な洗練へと移ってきていることが明らかとなった。教会運営においても聖書翻訳においても、モンゴル人のモンゴル語によるキリスト教という側面が強調され、そこに彼らの民族主義的意識が織り込まれていることも看取された。 一方、ケンブリッジ大学聖書協会図書館、ロンドン大学東洋アフリカ学院図書館では、社会主義以前のモンゴルにおける宣教師の書簡、その他活動記録についての資料を閲覧、その一覧を作成した。また、スウェーデン王立図書館にてモンゴル伝道に関する論文および書籍の収集を行った。 以上のような文献およびフィールドワーク資料の分析によって、社会主義の前後におけるモンゴルのキリスト教に対する接触様態の違いが浮き彫りとなり、モンゴルの歴史における社会主義的近代化の意義が再確認された。また、キリスト教に対する反応の一要因としてモンゴルにおけるシャマニズム的文化の影響を考慮する必要性が判明し、シャマニズム的信仰とキリスト教の関係についての比較研究の重要性が明らかになった。
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