2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本人と外国人日本語話者の待遇レベル意識及び評価に関する実証的研究
Project/Area Number |
21720183
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤原 智栄美 茨城大学, 留学生センター, 准教授 (40510201)
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Keywords | 外国人日本語話者 / 待遇レベル / 敬語使用意識 / 言語共生意識 / PAC分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国人と日本人の敬語選択が導かれる話者の意識とその規定要因を明らかにすることである。平成22年度は、外国人日本語話者が待遇レベル選択をいかなる意識で行っているのか、「敬語」をどのように捉え、他者に対する自身の印象をいかに管理しているのかということを焦点に、台湾人日本語学習者と韓国人日本語学習者の敬語意識を中心に、分析・考察を行った。まず、平成21年度から今年度にかけて行った台湾人、韓国人に対する調査の結果に基づき、2010年8月に台湾の台北で開催された2010 ICJLE世界日本語教育大会において、研究発表(題目:「日本語学習者の敬語意識:PAC分析(個人別態度構造分析法)を用いた事例研究」)を行った(内容については、2010 ICJLE世界日本語教育大会予稿集にまとめられている)。それらの発表内容を加筆修正し、『茨城大学留学生センター紀要』第9号に、論文:「日本語学習者の敬語意識に関する事例研究」として発表した。一連の研究では、敬語使用に対する意識を明らかにするため対象者の内面世界の奥深い構造を引き出す方法論であるPAC分析が採用され、分析を通して、日本語学習者の敬語イメージ及びそれを形成する要因となった日本語母語者との相互作用における経験の影響が確認された。本研究による分析結果は、今後の多言語社会におけるホスト住民と外国籍住民のコミュニケーション摩擦の一要因となる敬語使用意識の差異に関する基礎的知見として寄与するものである。
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