2010 Fiscal Year Annual Research Report
モニタリングを促すための他者への説明活動を取り入れた読解学習プログラムの開発
Project/Area Number |
21720185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 礼子 東京工業大学, 留学生センター, 客員准教授 (30432298)
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Keywords | 日本語教育 / 読解 / 自己モニタリング |
Research Abstract |
本研究は,日本語学習者を対象とした読解において,自己モニタリングの働きを促す読解学習方法を検討することを目的としている。自己モニタリングとは目的に応じて自分の理解の状態を評価し,それに基づいて読みをコントロールすることであり,文章理解をはじめとする読解の目的遂行に関与する。本研究では,読解における自己モニタリング技能を促進するための活動として,文章の内容を他者に説明する活動を提案し,この活動を取り入れた読解学習プログラムを作成することを目指している。 研究の初年度は上級学習者を対象とした実践を行ったが,2年目は中級前半の日本語学習者を対象として,読解の授業場面において,文章の内容を他者に説明する活動を取り入れた実践授業を行った。学習者の読解に説明活動がどのような影響を及ぼすかについては,説明活動前後の文章理解度の自己評価、理解度テスト,および学習者の説明プロセスの分析により検討した。その結果,読解後に自らの文章理解度を比較的低く評価した学習者は,説明活動の後,理解度が高まる傾向がみられた。一方,自分が文章を理解したと評価する学習者は,説明活動を経ても,文章理解の変化は小さく,誤った理解が修正されない傾向がみられた。このことから理解度の自己評価のしかたが,読解後の説明活動への取り組み方や効果に影響する可能性が示された。学習者の自己評価と授業活動への取り組みとの関連を検討することが今後の課題である。
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Research Products
(1 results)