2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける失蝋法の出現と展開に関する考古学的研究
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21720295
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
丹羽 崇史 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 研究員 (40455564)
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Keywords | 考古学 / 鋳造技術 / 東洋史 |
Research Abstract |
交付申請書の「研究実施計画」においては、考古遺物・鋳造技術・文献のそれぞれの調査研究から、東アジアにおける失蝋法技術の解明を目指すとした。 考古遺物の調査研究としで、本年度も前年度に引き続き、中国ならびに日本における失蝋法関連遺物および鋳造関連遺物の集成・データベース化をすすめるともに、12月9日~15日には、中華人民共和国に渡航し、湖北省博物館・随州市博物館・嚢陽市博物館にて資料調査を実施した。8月30日~9月1日には、中国科学院自然科学史研究所の蘇栄誉研究員、南京博物院の万俐研究員、富山大学の三船温尚教授らとともに日本国内の機関(泉屋博古館・奈良国立博物館・白鶴美術館・和泉市久保惣記念美術館.天理大学附属天理参考館)が所蔵する中国青銅器の調査を実施した。また、愛媛県西予市教育委員会などで関連遺物の資料調査も実施した。鋳造技術の調査として、上記の渡航期間中に随州市にて失蝋法で曽侯乙尊盤複製品の製作を手掛けた黄金洲氏を訪問し、聞き取り調査をおこなった。文献の調査として、前年度に引き続き中国および長城地帯・朝鮮半島・日本列島・雲南・東南アジアなど各地における失蝋法に関する先行研究を集成・整理をすすめ、各地における失蝋法の特性、および出現・展開過程について考察をおこなった。 以上のような調査研究の成果にもとづき、第5回アジア鋳造技術史学会橿原大会(8月27・28日奈良県立橿原考古学研究所)等で研究報告をおこなったほか、第109回奈良文化財研究所公開講演会にて、東アジアにおける失蝋法の展開-鋳造技術からみた中国・朝鮮・日本-」(10月15日奈良文化財研究所平城宮跡資料館)と題した講演をおこなった。また、これまでの成果をもとに、現在、東アジア各地における出現期の失蝋法を比較検討した論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」に記した中国・日本における失蝋法関連遺物や関連文献の集成・データベース化作業は、現在までほぼ順調に伸展しているほか、中国・日本を中心に、考古遺物ならびに鋳造技術の調査も実施することができたため。成果の一部も学会などで発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、研究の基礎となる集成作業や調査についてはほぼ順調に達成している。今後はこれらを体系的にまとめ、できるだけ迅速に論文作成などを進め、成果の公表に努めたい。また、上記の調査とともに、これまで実施できなかった鋳造実験も本年度実施する予定である。そのため、成果の公表とともに、今後のさらなる研究につなげることができるよう、新たな研究計画の作成も迅速に進めていきたい。
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Research Products
(2 results)