2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内記 香子 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (90313064)
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Keywords | 国際法 / 遵守 / 内面化 / 国際関係論 / ソフトロー / 正当性 |
Research Abstract |
本年度は昨年度からの継続で、理論的な分析としてハードローとソフトローの遵守要因についてのまとめを行った。まず、7月にロンドン大学の研究者と意見交換を行い、EU(欧州連合)におけるソフトガバナンスと遵守について情報収集を行った。次にそれを、10月の日本国際政治学会において「ソフトロー研究の現在-ソフトローの選択、影響の仕方、実効性の観点から-」というタイトルでペーパーを作成、学会報告を行った。また同じ内容で、「ソフトロー研究の展開-国際関係論とガバナンス論からの示唆」という報告題で12月に京都大学国際法研究会で報告した。 また、昨年度から執筆中であった、書評論文「遵守研究の展開-『国際法の遵守』への国際関係論からのアプローチ-」を国際法外交雑誌に公表した。また、"Assessing Policy Reach:Japan's Chemical Policy Reform in Response to the EU's REACH Regulation,"をJournal of Environmental Lawに投稿し公表した。これにより、国際法学が国際関係論から得られる知見は何かをまとめ、理論的サーベイを完了した。特に、国際関係論の合理主義的アプローチの考え方から導かれる「評判」の機能の有効性や、「国内政治」がどのように変化するかを追跡する方法などが、遵守のプロセスを明らかにする可能性があることが分かった。 実証研究については、理論研究の論文作成に予定より時間がかかったため十分な時間がとれなかったが、タイ・ベトナムなど東南アジアにおける食品制度とWTO協定の関係を中心に調査を行った。現時点においてはWTOのSPS協定に関係する現地の制度の調査を完了したところである。将来的には、国内の制度がWTOのSPS協定の影響をどのように受けて変化してきたのかを追跡できることが望ましいと考えている。
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