2009 Fiscal Year Annual Research Report
刑事手続外の調査手続により収集された資料の刑事手続における利用
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21730063
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中島 洋樹 Kagawa University, 法学部, 准教授 (60403797)
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Keywords | 刑事手続 / 調査手続 / 証拠使用 / 自己負罪拒否特権 / 文書提出命令 |
Research Abstract |
本研究の目的である非刑事手続における調査によって収集された資料の刑事手続における利用可能性に関する検討の足がかりとして、イングランド・ウェールズ(以下イギリス)の会社法、倒産法等に規定される調査手続および重大不正捜査局(Serious Fraud Office)の権限が自己負罪拒否特権と抵触しないかについて、イギリスにおける議論および判例の動向を調査した。 その結果、刑事手続以外の領域における特権保障は、およそ「公共の利益」および特権を主張する者の「特殊な地位」に集約される多種多様な根拠により制限され、ほぼ有名無実化されていたことが明らかになった。その後、80年代から90年代にかけて、欧州司法裁判所および欧州人権裁判所の判例が蓄積され、またイギリスにおいても人権法が制定されることにより、従来の刑事手続外における特権保障の不十分な状況の見直しが迫られる。人権裁判所の判断構造を分析すると、その際、公正な裁判の保障を根拠とする「特権の中核部分」を損なわない範囲の制限と相対的保障、「公共の利益」を特権侵害の正当化根拠とすることの否定が見直しの指針となる。このように、近年の欧州人権裁判所および欧州司法裁判所の動向を詳細に分析し、これに対するイギリス国内における裁判所や実務、制度的な対応、理論的な発展を検討することにより、同様の問題を内包する日本の現状を考察するにあたって、新たな知見が見出されてきている。さらに、以上の研究経過を踏まえて、平成22年3月に立命館大学で開催された刑事法関係の研究会(刑法読書会 平成22年3月6日 立命館大学)において、90年代までのイギリスにおける当該問題の動向と議論の状況を整理した外国の先行研究を紹介した上で、その後のイギリス国内における刑事手続外の調査手続と特権の調整問題について上述の経過と展望を示す報告を行う機会を得ることができた。
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