2009 Fiscal Year Annual Research Report
問題行動の見られる少年・児童に対する法的対応の意義
Project/Area Number |
21730067
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小西 暁和 Waseda University, 法学学術院, 講師 (20366983)
|
Keywords | 少年法 / 犯罪学 |
Research Abstract |
平成21年度に、本研究では、(1)わが国における問題行動の見られる少年・児童に対する処遇・支援の重要性とその方法の明確化(問題行動の見られる少年・児童に対する処遇・支援を少年非行対策として導入する上での必要性の部分)および(2)処遇・支援の法的限界の明確化(同妥当性の部分)を目指した。 その研究実施方法として、(1)必要性の検討については、国内外の文献および処遇・支援の実態調査を通じてデータを収集した上で、かかるデータの分析、検討を図った。また、(2)妥当性の検討についても、国内外の文献を通じて検討課題を収集した上で、かかる検討課題を考察した。とりわけ、発達犯罪学や児童精神医学に関する文献を中心としてデータの収集を行い、非行行動への親和性が高まる素質的・環境的リスク因子(家族関係上の特質、精神疾患等)を抽出していった。また、アメリカ合衆国のカリフォルニア州(サンフランシスコ郡・オレンジ郡)および関東地区の神奈川県において実態調査を開始した。なお、次年度も両地域を対象として実態調査を行い、データの収集を継続していく予定である。 本年度において、問題行動の見られる少年・児童に対する処遇・支援の重要性が明確化され、神奈川県での実態調査を基に、柔軟な行政的対応(多様な行政機関の適切な連携による処遇・支援)の必要性が認識された。しかしながら、かかる処遇・支援の法的限界を制度上担保させつつ、一層強力な処遇・支援を実施する上では、司法機関を中心とした「問題解決型裁判所」(problem-solving court)のような多機関連携のあり方も有効であると言えるだろう。かかる点の適否に関する詳細な検討は、次年度に遂行することにしたい。
|