2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730135
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
椛島 洋美 Yokohama National University, 国際社会科学研究科, 准教授 (20336043)
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Keywords | 東アジア / アジア太平洋 / APEC / ASEAN+3 / 地域統合 / 二国間関係 |
Research Abstract |
本研究は、束アジア地域統合における政治と経済の緊張関係について地域化と政治・安全保障問題が交錯する様相を軸に、理論と事例の両面から考察することを目的とするものである。平成21年度は、3つの点から、この課題に対してアプローチをした。 1. ASEAN+3やAPEC等の多国間地域連携の今日における性格の違いを明らかにした。 2. 二国間、多国間の地域連携が20世紀末から東アジアで重層化する一方で日中関係が冷え込む状況を分析するための作業として、小泉政権期の日中関係について概観した。 3. 新制度論を中心とする理論に関する考察を行なった。 ASEAN+3などの多国間地域連携のなかで、APECの経済協力について、東アジアにおける類似の地域枠組みと比較して分析を加えた結果、協力分野としてAPECの存在意義が認められる分野が確立されている一方、他の多国間地域連携との性格の違いが不明確だったり、協力分野が重複したりしている分野があることが分かった。地域協力、地域連携の中でも、経済協力の分野は論争性が少なく比較的容易に統合が進むという機能主義の理論に基づけば、経済協力の分野を看板にしている多国間地域枠組みの乱立や発展は理解できるが、それらの地域枠組み間の性格の違いや役割分担が不明瞭であることについては説明できない。その点を考える手がかりとして国家の関与あるいは国家間関係の影響の可能性を排除できず、結果、次のステップとして日中関係などこ国間関係について新制度論等に依拠しながら考察することが不可欠であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)