2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730135
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
椛島 洋美 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (20336043)
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Keywords | 東アジア / 経済統合 / APEC / 関係性 / 国際的構造変動 / 二国間関係 |
Research Abstract |
前年度の続き、東アジアの経済統合の例としてAPECを主たる分析対象に取り上げるとともに、そのメンバー間の関係性に注目して研究を進めた。その中で、主に1990年代から国際関係の構造変動5つ(アジア金融危機、WTOの展開、地域経済協定ブーム、非伝統的脅威の発生、新興国の台頭)の影響をAPEC地域が受けるなかで、日本が他のAPECメンバーとの間で孤立するようになったことを指摘した。具体的には、日本はアジア諸国との間で1990年代後半から経済上の利害が一致しない状況が現れるようになり、日本は経済分野で置き去りにされてきていることを指摘した。特に政治・安保問題に関連して、日本と中国、韓国との関係は2000年代前半に悪化したと言われるが、アジアの多角的な経済統合の展開という点で日本の置かれ方を見ると、中国や韓国にとどまらず、日本のアジアとの関係が1990年代後半から怪しくなってきていたことを説明したことは重要である。多国間の経済統合と、日中、日韓関係の連関性の前提としてのアジア諸国との国際関係を明確にした点が本年度の第一の研究成果である。但し、日中、日韓関係の連関性については、次年度、引き続き考察を進める必要がある。 また、2010年のAPEC会議が日本で開催されたことに伴い、高級事務レベル会議、あるいは政府ブレーン間の議論を含めて観察し、いわゆる会議外交の様子を考察した。本年度は、それを活字化することはできなかったが、来年度以降に改めて論考にまとめたい。
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Research Products
(2 results)