2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730135
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
椛島 洋美 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (20336043)
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Keywords | APEC / 日中関係 / 多国間協力 / リージョナリズム / ASEAN+3 / アジア / 太平洋 |
Research Abstract |
本年度は、平成21年度から始まった助成事業の最終年度にあたることから、前年度までの研究で十分分析できなかった部分を中心に考察を進め、次年度以降の研究の方向性を固めることにつとめた。具体的には、日中関係の悪化の局面としての小泉外交の展開に焦点を当て、2001年の日中外交とAPECの動きとの関係を探った。 日中両政府はきわめて困難な時期を迎えながらも、APEC等の会議がペースメーカーの働きをしたことや多国間主義の会議を繰り返し開いていたことが、日中関係の緩和の契機を作り出したことを指摘した。多国間主義の国際レジームがいくつも作られることから生じるフォーラム・ショッピングの問題を論じる既存研究は無視できないが、一方で地域枠組みの増殖の環境こそ、二国間対立を緩和することにもつながることを明らかにしたことにより、本年度の研究は意義深いものとなった。本年度の研究で採用した事例が、多国間地域主義そのもののパフォーマンスに十分触れているかという指摘もあるかもしれないが、悪化している二国間関係の好転そのものがそのまま、多国間地域主義のパフォーマンスにつながりうることは強調されねばならない。 二国間外交と多国間地域枠組みの緊張関係は、さらに本年度の研究対象とは異なる時期や地域で検証されなければならないこと、サブ多国間地域枠組みとメガ地域枠組み間の緊張関係についても視野を広げる必要があることが、今後の研究課題として浮かび上がったことも本年度の研究成果といえる。
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Research Products
(3 results)