2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730209
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮崎 悟 Doshisha University, 高等研究教育機構, 特別研究員 (90533373)
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Keywords | 潜在看護職員 / 労働条件 / 雇用の非正規化 / 就業意識 |
Research Abstract |
平成21年度においては、各種公表データの整理を行ったうえで、他プロジェクトと共同で提供を受けた総務省統計局「就業構造基本調査」の調査票情報を利用して独自に看護職人材の労働環境や就業意識について分析した。また、近年の潜在看護職員数の動向をつかむために、最新の2008年末時点での潜在者数及び潜在率を推計して、過去時点での推計結果と比較した。さらに、厚生労働省「賃金構造基本調査」の公表データを用いて、看護需給や診療報酬制度の影響が出やすいデータも考慮したうえで、看護師と准看護師の賃金に関する分析をした。 この結果、特に女性を中心に近年の看護職の潜在化傾向は改善しており、これと同時期に非正規雇用の拡大や短時間労働者の増加という現象が見られた。また、長時間勤務が看護職からの離職を考えさせる特に重要な要因となることも統計分析によって明らかにした。さらに、診療報酬等の制度そのものやその変更が看護職の賃金水準に影響すること見出し、経験重視の看護師と年齢重視の准看護師というように、看護師と准看護師での賃金決定に関わる要素の違いも見出した。 これらの成果論文については、速報的に所属研究所(同志社大学ITEC)のワーキングペーパーとして公表し、一部は公刊に向けて国内外の学会誌に投稿・改訂中である。 これらの研究成果による発見は、今後の看護人材の需給バランスを社会的・政策的に考える上で、非常に重要な情報である。看護人材の不足感が続く中、課題となっている潜在化した看護職の復帰や現役看護職の離職防止という側面で、基本的ではあるものの認識すべき重要な情報といえよう。
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Research Products
(2 results)