2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730279
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
大石 泉 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (20440216)
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Keywords | リネン業 / アイルランド / イギリス / アメリカ村民地 / 商人 / 工業化 / 紡績 / 織布 |
Research Abstract |
平成22年度は、「18世紀ヨーロッパにおけるリネン業盛衰の分析」研究の2年目であり、史料分析、途中経過のまとめを中心に研究活動をおこなった。 まず、史料分析に関しては、平成21年度に収集した史料、平成22年度に新しく入手した史料がいかに研究に使用できるかについての分析を進め、それら史料から読み取れるものをもとに研究をおこなった。今年度は、18世紀中葉のアイルランド・リネン業の実態を地域ごとに明らかにする作業を進めた。そのなかで、麻糸生産に関しては、「18世紀ヨーロッパにおけるリネン業盛衰の分析」研究の途中経過として、論文にまとめ、発表した。その論文では、アイルランドではどのような麻糸が生産されていたかについて、地域別に考察し、それがどのような形でアイルランド国内の織布工程と結びついているかを、また、輸出された糸がイングランドの織布工程といかに関連しているかについて論じた。18世紀アイルランドにおいては、様々な番手、種類の糸が生産されており、そのどの部分がアイルランド、およびイングランドのどのような織物生産に使用されたかについて示すことができた。これは、これまでの経済史研究の織物研究では明確に意識されなかった織物の質の部分に注目することによって、周辺領域である文化史、織物史研究との融合を図り、さらには、経済史研究の領域では古典的ともなっている、「工業化」「産業革命」に関する議論を再解釈するという、当該研究の目的のための一つの作業となった。
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