2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730397
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高野 光平 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (70401156)
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Keywords | 社会学 / 文化研究 / メディア諭 / 集合的記憶 / 昭和ノスタルジー |
Research Abstract |
「昭和ノスタルジー」がメディアを通じてどのように集合的記憶化されているかを考察する本研究では、当該メディア資料の選別・収集・通読・検討の作業が大きな比重を占める。本年度はその作業に多くの時間を費やした。書籍については、国立国会図書館MDL-OPAC等を用いて関連する書籍の年別、キーワード別の刊行状況を調査し、2005年を画期としてその数が飛躍的に増加していることを明らかにした。また、それらの書籍の中からなるべくテーマが重複しないように270冊を選びすべて通読し、内容分析の準備をおこなった。雑誌についてはディアゴスティーニ刊『週刊昭和タイムズ』(全64巻)、DVDは講談社刊『昭和ニッポン』(全25巻)をそれぞれ通覧し、内容分析の準備(キーワードや共通して取り上げられる事象の抽出等)を実施した。これとは別に、昭和レトロ的な表象の起源を探るため1980年代後半から90年代初めにかけての雑誌記事や音楽・映像・写真作品などを調査したが、まとまった結果はまだ出ていない。さらに、戦後昭和に関する社会学を中心とした先行研究を整理・検討して、「戦後」を記述するための立脚点が現在どのように理論化されているかを調べた。現在は戦後史や戦後思想史をどう評価するかという論点が中心で、イメージとしての戦後を考察するものは少ない。ただしここ1年のあいだに『マス・コミュニケーション研究』76号特集「「昭和」の記憶とメディア」など、いくつかの研究成果が出始めており、本研究のような大規模な量的アプローチはそれらの研究に具体的なレベルで接続可能であることが確認できた。
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