2010 Fiscal Year Annual Research Report
水産物消費の環境問題化の動態研究-持続可能性と消費者教育をめぐるポリティクス
Project/Area Number |
21730415
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野崎 賢也 愛媛大学, 地域創成研究センター, 准教授 (00346660)
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Keywords | 社会学 / 環境問題 / 水産物 / 持続可能性 |
Research Abstract |
平成22年度は、欧米諸国の水産物消費をめぐる研究者やジャーナリストの書籍や外食産業についての記事などの文献資料を収集し、その言説の分析を行ったこと、および日本国内の環境団体や研究者、水産関係者などへのインタビューを行い、外食関係者などの意識調査を行った。 欧米諸国では、「乱獲された魚を使わない」意思表示をする高級レストランが増加しており、1990年代から現在までのそれらの動きのうちでクロマグロやキャビアなど代表的な事例を年表にまとめた。また、欧米のスーパー等ではMSCを筆頭に持続可能な水産物についての認証が急速に普及している状況について整理した。これらの内容は、料理人向けの一般誌に公表した。 日本国内では、WWFジャパンなどの環境団体や水産物流通関係者などへのインタビューと並行し、「サステイナブル・シーフード研究会」を組織して、日本における持続可能な水産物についての情報収集や事例の検討を行った。さらに、レストランの料理人や食メディア関係者に、持続可能な水産物についての現状認識等をアンケート調査しその結果をまとめた。 また、養殖水産物の持続可能性をめぐる現状についても調査し、愛媛県内の養殖漁業者にインタビューを行い、持続可能な水産物についての認識などについて調査しその結果をまとめた。 水産物消費の持続可能性についての認識は日本国内でも徐々に高まってきているが、欧米での議論や情報が十分に国内に伝えられていないこと、国内の魚種についての具体的な情報が少ないことが課題として明らかになった。
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