2011 Fiscal Year Annual Research Report
水産物消費の環境問題化の動態研究-持続可能性と消費者教育をめぐるポリティクス
Project/Area Number |
21730415
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野崎 賢也 愛媛大学, 地域創成研究センター, 准教授 (00346660)
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Keywords | 社会学 / 環境問題 / 水産物 / 持続可能性 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に日本国内の水産物消費に関わる外食や流通分野の関係者にインタビューとアンケート調査を行ったほか、消費者にもアンケート調査を行い、日本の水産物消費をめぐる言説や意識の変化を把握した。また、欧米諸国の水産物消費をめぐる社会状況について文献やインターネットを通じて資料収集を行い、現状についてまとめた。 日本国内の水産物消費をめぐる意識については、昨年度に設立したサステイナブル・シーフード研究会で、東京都内でセミナーを2回開催し、外食関係者とワークショップ形式で意見交換を行ったほか、参加者にアンケート調査を行い、水産物の持続可能性への認知度などについて調査結果をまとめた。また、京都の日本料理関係者に水産物の使用状況と意識についてインタビューとアンケート調査を行った。 以上の研究成果は、東京大学大気海洋研究所における研究集会「太平洋クロマグロ資源の有効利用に向けた取組」(2011年9月)において口頭発表したほか、論文としてまとめたものが専門誌に掲載された。その内容を要約すると次のようになる。水産物消費をめぐる認識が欧米社会で変化し、「環境問題」から「食」の問題として位置づけられて社会的な関心が高まる一方で、日本ではそうした認識がほとんど生まれてこなかったが、ごく一部の外食関係者や流通関係者から変化が起きており、近年の日本料理への世界的な注目が外からの刺激となって、「食」の問題の一つとして感心が高まる可能性が出てきている。 本研究は、日本の料理関係者や流通関係者など日本の「食」を支えるプロたちの意識を実証的に明らかにした点、および欧米と日本の水産物消費をめぐる社会意識を比較した点において意義があり、環境問題のなかで水産物や食が主題化され始めた現状を分析したことは、本分野の研究において重要な一歩となった。
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Research Products
(2 results)