2010 Fiscal Year Annual Research Report
高知県における高齢者医療の現状と課題-新たな保険化と医療費適正化対策の検証
Project/Area Number |
21730448
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西島 文香 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (70432812)
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Keywords | 高齢者医者医療 / 療養病床 / 医療費適正化 / 地域ケア / 高知県 |
Research Abstract |
本年度は高齢者医療と地域ケアの課題を抽出するために、地域ケアの重要な担い手となる訪問介護の特質と財政課題を引き続き検討し、地域ケアの提供システムに関する課題を考察した(雑誌論文として2011年3月に発表)。また、6月から月3~4回程度、研究協力者らと研究会を実施し、国の医療費適正化政策と「高知県医療費適正化計画」、及び「第5期高知県保健医療計画」などを検証し、高知県の保健医療の概況把握と、地域ケアの課題抽出を行った。 高知県の特徴として、(1)県民医療費は県民所得の約6分の1を占め、一人当たり医療費は全国1位(全国平均の約1.8倍)である、(2)県民医療費に占める老人医療費の割合が44.0%と全国平均の約1.25倍である、(3)人口当たり病床数は全国1位であり、全病床の約4割を療養病床が占め(全国平均の1.8倍)、療養病床数は全国平均の3.5倍である、(4)一人当たり老人医療費のうち、入院医療費は全国平均の1,4倍であり(5)1日当たりの入院医療費は低いが1件当たりの日数が長く、入院受療率が高い、等の点があげられる。 こうした特徴をふまえ、研究会では高知県における療養病床の実態を明らかにするとともに、高知県医療費適正化にもとづく療養病床削減政策の影響と医療費適正化対策のあり方を検討することを目的に、高知県下の療養病床を対象にした調査を実施することとした。研究会において調査仮説を検討し(7~8月)、作成した調査票をもとにパイロットサーベイを行い、調査票の検討・修正を行った(9月)。 10月に高知県下の全療養病床を対象にした全数調査を実施し、医療・介護療養病床における入院患者のADL区分や医療区分、病状、入院の要否、また、看護職・介護職の数や業務分担などのほか、医療区分のあり方、病床転換の意向・予定などについて質問した。現段階では、この調査結果について、データ入力と単純集計を終えたところである。
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