2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730451
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片桐 資津子 鹿児島大学, 法学学部, 准教授 (20325757)
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Keywords | 介福祉 / 特養ホーム / グルールのもつ力 / ユニットケア / 個別ケアの葛藤 |
Research Abstract |
前年度までの研究において、施設介護の強みを発揮するためには、(1)役割、(2)共同(3)安心(4)自由の4つの視角が重要になることが明らかにされた.これを踏まえ、今年度は、新型特養と後來型特養の比較分析を深化させた。この比較分析は、ユニットケアの本質に迫るために重要となる。すなわち、新型特養は、個室完備でユニットケアタ実施するのに有利な設備が整っている。これに対して、従来型特養は、基本的には4人部屋であり、ユニットケアが実施しにくい設備になっている。両者を比較する意義は、設備が恵まれている場合でも必ずしも個別ケアの実現が約束されるわけではないこと、あるいは逆に、設備が恵まれていなくても工夫の仕方によっては個別ケアが可能になることを説明できることにある。 個別ケアとは、利用者本位のケアであり、要介護高齢者の生活歴や生活リズムを尊重する介講を意味する。施設介護の強みに着目して、施設で展開されるユニットケア左個別ケアに結びつけるためにはどうしたらよいか、といったことを探究した。 調査・分析の過程で「個別ケアの葛藤」の実態がみえてきた.個別ケアの葛藤とは、利用者本位の実施するとケア職員は感情疲労で燃え尽きるが、逆に自己防衛として感情疲労を回避すると、画一的なケアを行わざるをえないことを意味する、個別ケアの葛藤を乗り越えるためには、ケア職員と利用者の関係のみならず、利用者同士の関係にも注目することが要請されることが示された。 ユニットという小集団において、利用者同士の関係に着目すると、かれらが役割を持って共同し、安心と自由を感じることができるよう、ケア職員には利用者を誘導することが求められる.そうすることによって、グループのもつ力が発揮され、施設介講の強みが最大限、機能することになる。本研究では、こういったことを探究するなかで、ミクロ社会学の学問知に貢献することを目指した。
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