2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730608
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
永岑 光恵 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (80392455)
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Keywords | ストレス / 情動 / 記憶 / 概日リズム |
Research Abstract |
本研究は、時間生物学的観点から、内分泌系の概日リズムと情動を伴う出来事記憶の形成過程との関連を明らかにするための基礎的実験研究である。当該年度は、昨年度に引き続き実験を行い、情動的刺激の提示時間帯(午前もしくは午後)が情動を伴う出来事記憶の形成過程にどのような影響を及ぼすかを検討した。健常な大学生47名を対象として、Cahill et al.(1995)の作成したスライドを刺激課題として用い、情動記憶実験を行った。刺激実験初日に課題をモニターに呈示し、1週間後、刺激課題の内容に関して不意の記憶検査を行った。なお、ストレス反応に影響を及ぼすことが明らかにされている性格特性の神経症傾向に群差がないように、対象者を午前と午後の部に割り振った(午前群(n=23):Mean=5.39,SD=2.90;午後群(n=24):Mean=5.13,SD=2.76;t(45)=0.32,ns)。記憶量に関して2要因の繰り返しのある分散分析(章(1-3章)x群(午前、午後))を行った結果、有意な章の主効果(F(2,90)=7.08,p<.01)と有意な章×群の交互作用(F(2,90)=3.83,p<.05)が示された。単純主効果の検定の結果、第1章と第2章の記憶量に関しては、午前群より午後群の方が多いことがわかった。次に、群毎に記憶量の相違をみてみると、午前群、午後群ともに第2章の情動性記憶量が第1章の中性記憶量よりも多いものの、第2章から第3章にかけての変化に群差がみとめられた。午後群においては、第3章が第2章よりも有意に少ない記憶量を示しているが、午前群では有意差はみとめられなかった。以上より、情動が喚起される刺激内容の方(第2章)が中性刺激の内容(第1章)よりもよく覚えているという点においては、刺激に接した時間帯の影響がないことが示された。
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