2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730608
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Research Institution | 防衛大学校 |
Principal Investigator |
永岑 光恵 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (80392455)
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Keywords | ストレス / 情動 / 記憶 / 唾液中コルチゾール / 日内リズム |
Research Abstract |
本研究は、時間生物学的観点から、内分泌系の日内リズムと情動を伴う出来事記憶の形成過程との関連を明らかにするための基礎的実験研究である。当該年度は、情動記憶形成過程に内分泌系(コルチゾール)の影響がどのように及ぶかを明らかにするため、.コルチゾール分泌の日内リズムの要因を検討した。Cahill et al.(1995)の作成したスライドを刺激課題として用い、情動記憶実験を行った。刺激実験初日に課題をモニターに呈示し、1週間後、刺激課題の内容に関して不意の記憶検査を行った。また、刺激実験初日には、コルチゾール分泌の日内リズムを評価するために、8時、11時、15時、20時の4ポイントに唾液採取を行った。実験参加者47名のうち、コルチゾール値が基準値4~28nmol/1を示し、かつ起床時間が7時の者のみ(30名)を対象として、コルチゾール日内リズムと情動記憶形成の関連性を解析した。コルチゾール分泌の日内リズムの相違(4ポイントの値からslopeを算出)により対象者を3群に分け、記憶量に関して2要因の繰り返しのある分散分析(章(1-3章)x群(Steep,Medium,Flat群))を行った。なお、共変量にWMS-Rの遅延再生指標を投入した。その結果、有意な章×群の交互作用が示された(F(4/52)=3.03 p<.05)。下位検定の結果、Steep slope群においては、第2章が第1章よりも有意に記憶量が多く、Medium slope群では、第2章が第1、3章よりも記憶量が有意に多いことがわかった。一方,Flat slope群に関しては,3つの章の間に有意な記憶量の差はみられなかった。本研究から、コルチゾール日内リズムが平坦化している者において、情動を伴う出来事記憶の形成が阻害されていることが示され、内因性のコルチゾール分泌が情動記憶形成過程に関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)