2012 Fiscal Year Annual Research Report
カナダにおける学校の市場化に対する教員の意識に関する研究
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21730615
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
上杉 嘉見 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 准教授 (10451981)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | カナダ / カリキュラム / コマーシャリズム / 民間企業 / 教員団体 |
Research Abstract |
最終年度に重点的に行った活動は研究成果の発表である。 まず5月にCanadian Society for the Study of Education年次大会で口頭発表を行った。この発表では,おもに日本の企業が展開している小学校での出張授業を取り上げ,その内容や実施体制,学校での受容などに見られる特徴を,カナダでの企業の教育活動への関与の動向と比較しながら明らかにした。具体的には,カナダでは,1990年代以降の景気後退を背景とする教育予算の縮減を背景に,経済界主導による企業と学校とのパートナーシップ活動が拡がりを見せた。こうした動きは教員組合を中心に学校コマーシャリズムとして捉えられ,学校の公共性を脅かす現象として批判されてきた。これに対して日本では,企業の出張授業は「総合的な学習の時間」導入後に普及したが,カナダの教員のあいだに見られるような批判的な見方よりもむしろ,企業は学校支援によって社会的責任を果たしており,出張授業は教育技術や効果の面でも優れているとして肯定的に捉える向きが強い。この背景にある政治的・社会的条件として,学校の外部機関との連携を推進する政策と教員の多忙化を指摘した。 次に10月にはケベック州の学校コマーシャリズム問題への取り組みに焦点を当てた発表を日本教育方法学会大会で行った。おもな分析対象は,同州消費者保護事務所が初等学校教員の団体と共同制作した広告に関する教材である。今日,様々な形態をとりながら展開される学校コマーシャリズムを問題として理解するためには,広報宣伝が持つ機能についての知識とその意味を把握する能力が必須であるが,この教材はその能力の育成を可能にするものと捉えることができる。こうしたリソースの制作を導いた要因に,子ども向け広告を禁止する州法の存在や,倫理教育を重視する近年のカリキュラム改革があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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