2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ教育政策と校長職労働市場に関する萌芽的研究
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21730649
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
大竹 晋吾 福岡教育大学, 准教授 (30380661)
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Keywords | アメリカ / 労働市場 / 校長 / 資格免許 |
Research Abstract |
平成22年度については、全米の労働市場に関する情報を集約している全米教育大学協会(University Council of educational Administrationを抱えるテキサス大学オースティン校に訪問した。 外部労働市場と雇用政策に対して同学会は政策提言を行っており、インタビュー調査を踏まえてこれらを集約した。特に進展する大学院レベルの校長職養成と、一方で地方間格差の問題が大学運営にも影響を与えつつあること。校長職労働市場が州間を超えて拡大する中で、州間互換制度の恩恵を強く受ける地域と、一方で校長職の人材流出が止まらない実態が明らかになっている。 そもそもアメリカの州間互換免許制度は、1990年代のクリントン政権下で閉鎖的な教員の労働市場の閉鎖性が指摘され、市場開放を目指して導入された雇用政策である。これは一方では、公的セクターの解体も視野に入れて実施されたものであるが、その実態は、州間格差の是正機能を持たないアメリカにおいては、州間労働移動を拡大させることに繋がっていない。 2000年以降においても、実質的には州の財政状況によって労働移動が一部の経済的に恵まれた地域へと流入し、地域間格差を増大してきている。このような状況について、国家的な問題となりにくいアメリカの制度文化そのものも背景にある。これらの課題については、次年度も引き続き実態調査に基づいて報告書を作成したい。
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