2009 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害学生の主体的な参加を実現させる情報保障のあり方に関する実践的研究
Project/Area Number |
21730714
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金澤 貴之 Gunma University, 教育学部, 准教授 (50323324)
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Keywords | 聴覚障害学生 / 情報保障 / ICT / iphone(アイフォーン) / 主体的参加 / 遠隔連係PCテイク / タイムラグ / 移動を伴う場面 |
Research Abstract |
聴覚障害学生への支援体制の整備に伴い,ICTを活用した支援手段により,支援の質的な向上が見られている。しかしその一方で,字幕のタイムラグの発生等により,聴覚障害学生が情報の一方的な受け手になってしまっているという問題も生じている。そこで本研究では,聴覚障害学生が他の学生と対等に主体的な参加ができる環境を構築するために,各々の授業形態に最適化されたICTを活用した情報保障のあり方について提案を行うこことした。 初年度である本年度は,特に,通信機能付き小型携帯端末(iPhone)を用いた情報保障の実践を行いつつ,その中で,聴覚障害学生が主体的に参加できる字幕呈示にっいての検討を行った。iPhoneを活用した遠隔情報保障システムの実現により,教室内にはiPhoneとマイクを1台づつ用意するのみで情報保障を行うことができた。これにより,体育館での身体表現活動,教育実習,卒業祝賀パーティー,大学から遠隔地で実施されたゼミなど,これまでではPC連係入力による情報保障が困難であった,移動を伴う場面やPCの持ち込みが難しい場所での情報保障が可能となり,聴覚障害学生の活動の幅が格段に広がった。加えて,教室内の準備は聴覚障害学生自身が行う必要があることから,聴覚障害学生自身の主体性を育てることにつながった。 しかしその反面,これらの場面は主体的な参加が求められる状況であるがゆえに,字幕のタイムラグの存在による発言の介入の困難さがより一層顕在化することとなった。また,映像情報がないための遠隔地のPCテイカーの負担も無視できないものであり,システムの簡素化と支援の質とのバランスをどうとっていくかが今後の課題となった。
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Research Products
(3 results)