2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム3標的上での静止K反応を用いたΛ(1405)状態の研究
Project/Area Number |
21740166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 隆敏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50415197)
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Keywords | Λ(1405) / K中間子原子核 / K1.8BR / 静止K反応 |
Research Abstract |
平成21年度においては交付申請書上の研究実施計画に示されるように本研究とビームライン及び実験装置を完全に共有するE17実験の準備としてK1.8BRビームラインの調整を進行した。K1.8BRビームラインは完全に新規のビームラインでありその特性は未だ調べられたことが無いため、その調整は双極電磁石の設定からスリットのオフセット調整といった基本的な事柄から段階的に進行した。平成21年度においては50 GeV陽子シンクロトロンからの遅い取り出しによる一次陽子ビームは時間的に平坦な構造であるとは言えず、その弱い強度に関わらず実効的なレートは大きかったが、静電セパレータK1.8ES1の使用に依るビームラインのK中間子への最適化により実効レートが大きく下がったため、K中間子の収量やビームラインのアクセプタンス、またK中間子や反陽子収量の生成標的に対する依存性を定量的に調べる事が出来た。引き続きK中間子の収量を最大化しつつその運動量依存性や中心運動量及び運動量分布を測定することで標的中に静止するKを最大化するようなビームライン運動量を決定するためのデータを取得した他、K中間子や反陽子の収量の運動量依存性が通常ビームラインの設計に用いられるSanford-Wangの経験式から大きく偏差していることを確認した。この結果E17実験及び本研究における最適のK中間子運動量は本来想定されていた0.75GeV/cから0.9GeV/c以上へと移行し、また実験データの取得に必要な一次ビーム照射量は大きく圧縮され得ることが判明した。ビームライン調整を進行する一方で標的系及び二次粒子検出器系の準備を進行し、また平成21年度6月には本研究計画を正式な実験提案としてJ-PARCの実験審査委員会に提出した(J-PARCP30)。この際、ヘリウム3よりは重陽子の方が本研究の標的としては優れていることが判明したため、使用する標的をヘリウム3から重陽子に変更した。
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Research Products
(1 results)