2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチフェロイック磁性体のスピンキラリティを介した磁気光学応答制御
Project/Area Number |
21740237
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 耕治 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (30400427)
|
Keywords | 磁気光学 / マルチフェロイクス / 光学的電気磁気効果 |
Research Abstract |
本研究は光学的手法を用いて電気磁気結合をしたドメイン観察を行うことを研究目的としている。 本年度は研究計画に従い、昨年度立ち上げを行った測定系による電気磁気ドメインのイメージングを行った。測定対象としては、巨大な電気磁気効果が観測されることが分かっているマルチフェロイック物質のMnWO_4を取り上げた。この系は低温において3つの長周期磁気秩序相に相転移することが知られている。このうち、一つの磁気秩序相はらせん磁気秩序構造をとり、同時に強誘電性を発現することが分かっている。このらせん磁気秩序相に関しては、円偏光のX線を用いた回折実験を行ったところ、この強誘電分極の向きと、らせん磁気構造のキラリティとが1対1対応をしていることが明らかになった。このことは、電気的にキラリティを制御することが出来ることを意味している。そこで、本研究では、まず電場中で試料を冷却することで、らせん磁気秩序相のキラリティを制御し、磁気キラル効果を介したドメイン観察を試みた。しかし、測定を行った結果、この系の磁気キラル効果は非常に小さく、有意なシグナルとしては観測出来ないことが分かった。 一方、光吸収スペクトルの温度依存性を調べたところ、この系では、らせん磁気秩序相と他のキラリティを持たない反強磁性秩序相とで光吸収スペクトルが大きく変化することが分かった。そこでこの光吸収の差を利用したイメージングを試みたところ、らせん磁気秩序相とキラリティを持たない反強磁性秩序相の二相共存状態を可視化することに成功した。
|
Research Products
(11 results)