2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740316
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 団 Waseda University, 総合研究機構, 研究員 (40350475)
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Keywords | 単一細胞 / 蛍光イメージング / 温度 / 熱 / 顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、Ca2+濃度変化が機能の発現と密接に結びついている脳と心臓で、機能と温度の関係をミクロな視点から明らかにすることである。小胞体上に存在するCa2+放出チャネルのリアノジン受容体とIP3Rの両方が、急速な温度冷却に反応して一過的にCa2手を放出することが分かった。ということは、細胞は内部の各箇所で行われる酵素反応から産生される熱を無駄に拡散させることなく、細胞内の別の反応へ効率的に再利用しているかもしれない。本研究では、この仮説の検証にアプローチする。本年度においては、まず細胞の熱的特性を定量化することに重点を置いた。そのために、細胞内の局所的な温度変化の測定とその解析を目標とし、単一細胞で温度分布イメージングができるよう細胞質および核内に蛍光色素を導入した。さらに細胞内に直径数μmの熱源を置いた。この方法により、細胞内で熱拡散係数が不均一であることを示唆する結果を得た。さらに高速イメージングの手法と組み合わせることで、希薄な水溶液と細胞質との違いを定量化することができた。次に、局所的な温度勾配が細胞に対してどのような影響を与えるかを、分裂期のHeLa細胞に着目することで調べた。これまでの研究から、高温にさらされた細胞の分裂は異常を来すことが分かっている。本研究では局所熱励起の手法を用いて、非常に急な温度勾配にさらされた細胞の分裂の様子を調べた。これにより、温度勾配の方向に対し垂直となるように紡錘体が回転していくことが分かった。以上の研究成果を、日本生物物理学会第47回年会において発表した。また心筋細胞の拍動メカニズムを明らかにしようとする研究へと展開し、分子モーターと細胞骨格タンパク質とが自己集合的に集合体を形成することで拍動が生み出されることを示唆する結果を得て、これをレビューとしてHFSP J誌に発表した。
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