2011 Fiscal Year Annual Research Report
複数の惑星を持つ系外惑星系の形成と遠方領域への軌道進化
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21740324
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長沢 真樹子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00419847)
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Keywords | 惑星起源・進化 / 理論天文学 |
Research Abstract |
発見されている太陽系外の木星型惑星は,観測のバイヤスによって離心率が大きく軌道長半径が短いものが多い.これまでの研究でこのような木星型惑星の形成過程には,惑星同士の散乱現象が大きな寄与を果たしていることがわかってきた.昨年度までの研究に引き続き,太陽系外で複数の木星型惑星が形成され,軌道不安定を起こす状態における惑星の軌道進化を数値計算した. 今年度は観測が難しく惑星の発見されていない領域に散乱される惑星の軌道傾斜の分布を求めた.軌道不安定によって生じる散乱によって惑星は,視線速度法によって観測可能な内側領域と,直接撮像法によって観測可能な遠方領域,そして観測のできない中間領域とに分布をする.この中間領域と遠方領域は,外側に散乱された惑星で作られるひと続きの分布となる.数値計算の結果によって得られる内側領域の惑星分布は観測と矛盾しない.中間領域の惑星は,外側に行くほど,離心率が大きく軌道傾斜角が小さくなる傾向を持っている.しかし,100AUを超えるような遠方領域の惑星は,散乱によって離心率が極めて高くなり,この結果は必ずしも観測とは合致しない,このため直接撮像のターゲットとなるような遠方領域では惑星形成時に何らかの抵抗が働いて軌道が円軌道化する可能性も考えられる. 今年度はまた,惑星の質量比を固定せずに,2つの木星型惑星が軌道不安定を起こした場合に想定される軌道分布の計算も行った.この計算からは,質量比が大きくなると軽い惑星は系外に飛ばされやすいこと,質量比が1対3程度になると離心率は0.5以下のものが大半を占めるようになり,質量が1対10程度になると系に残る離心率はほぼ0.2以下となることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数惑星系の軌道進化についての基本的な数値計算と解析の多くが順調に終了しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
中心星の自転軸と惑星の自転軸に傾きがある場合の短周期惑星の潮汐進化についての考察が完了していないため,今後これを行う必要がある.
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