2009 Fiscal Year Annual Research Report
理論的設計に基づく複核活性点触媒による高難度酸化反応系の開発
Project/Area Number |
21750089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 善直 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (10436545)
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Keywords | 選択酸化 / ポリオキソメタレート / バナジウム / 量子化学計算 |
Research Abstract |
オレフィンのエポキシ化反応に活性を示すことが明らかとなっているケイ素中心バナジウム2核置換ポリオキソタングステートについて、中心元素をケイ素からゲルマニウムおよびリンに変えたときの反応性の変化を量子化学計算(密度汎関数法)により検討した。ゲルマニウム中心では構造変化に由来した反応性のわずかな向上が計算され、実際の触媒活性および中間体の生成挙動と一致した。リン中心ではアニオンの負電荷の低下に由来する活性種の大幅な反応性向上が計算された。実際にリン中心バナジウム2置換ポリオキソタングステートの合成を行い、X線構造解析を含むキャラクタリゼーションにより構造を決定し、ケイ素やゲルマニウム中心と同様のバナジウム2核を2個のOH基で架橋されたサイトを有することを確認した。このポリオキソタングステートを触媒反応に用い、計算で示されるようなエポキシ化反応の活性向上を確かめた。さらに、この活性向上がより困難なアルカン酸化にも適用でき、アルカンの高選択的・立体選択的水酸化に非常に有効であることを見いだし、量子化学計算でもその反応性が予測可能であることを確認した(論文投稿中)。以上から、量子化学計算による研究代表者は、現在筑波大学冨重研究室に異動しており、平成22年度はこの研究室の助力を得てグリセリン等のバイオマス由来物質の選択酸化による有用物質への転換を行う触媒の開発を量子化学計算による設計を生かして行う予定である。また、触媒材料きしても、ポリオキソメタレートに限らず、ナノクラスター担持型固体触媒にも対象を広げる予定である。
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