2009 Fiscal Year Annual Research Report
7族遷移金属触媒による不活性結合の切断を経由する新規化学変換法の開発
Project/Area Number |
21750103
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
國信 洋一郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40372685)
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Keywords | レニウム / マンガン / C-H結合活性化 / C-C結合切断 / 挿入 / 付加 / 位置選択的 / 触媒反応 |
Research Abstract |
有機化合物は、主として炭素-水素や炭素-炭素結合のように反応不活性な結合から構成されている。それらの結合を直接化学修飾できれば、従来行なわれてきた合成法、例えば炭素-ハロゲン結合を足掛かりとする化学変換法と比較して、目的生成物を得るのに少ない反応段階ですむことや、金属ハロゲン化物のような副生成物を生じないという利点がある。本研究では、従来困難とされてきた不活性結合の切断に焦点をあて、7族遷移金属であるレニウムやマンガン錯体を触媒として用いる、炭素-水素もしくは炭素-炭素結合の切断を基盤とする高効率かつ新規な反応の開発を行なった。 オレフィン性C-H結合への不飽和分子の挿入例は、芳香族C-H結合の反応ほどは多くなく、分極した不飽和分子の挿入例はほとんどなかった。レニウム触媒を用いることにより、オレフィン性C-H結合に分極した分子であるアルデヒドを挿入させることができた。 また、レニウム触媒を用いることにより、これまで困難とされてきたフェノール誘導体のオルト位もしくはパラ位の位置選択的なモノアルキル化にも成功した。 我々はすでに、レニウム触媒を用いることにより、ひずみのないC-C単結合へのアルキンの挿入を報告している。同様の反応がマンガン触媒を用いても進行することを明らかにした。また、この反応を利用することで、ビシクロ環化合物の簡便な合成法を開発した。 その他にも、炭素-水素もしくは炭素-炭素結合の切断を基盤とする反応の探索過程で、レニウム触媒による、末端アルキンの位置選択的な二量化および三量化反応による(E)-エンインや1,3,5-三置換芳香族化合物の合成や、β-エナミノエステルの不活性アレンへの位置選択的な付加反応に成功した。
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