2010 Fiscal Year Annual Research Report
光ピンセットと表面プラズモンを融合したナノ力学測定装置の開発
Project/Area Number |
21750218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀中 順一 京都大学, 工学研究科, 助教 (00313734)
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Keywords | 光ピンセット / 表面プラズモン / ナノ力学 / 高分子材料 / 表面走査 |
Research Abstract |
光ピンセット装置の高い力の分解能と測定対象の変形量に関して高い分解能をもつ機構を一体化させ力と変形量の両方を、同時に、極めて高い精度で決定する力学測定装置を完成させることを目的とした。光ピンセットに関しては、研究代表者の以前の研究によって確立された高分子の1本鎖の力学測定を行える既存の装置とし、面プラズモン機構の構築を行った。極めて弱いバネ定数をもつ光ピンセットの特長を損なわずに、変形量に関して高い分解能をもつ機構として表面プラズモンの全反射減衰法を採用した。全反射減衰法は、表面プラズモンがしみ出す薄膜表面近傍におけるわずかな屈折率の変化を反射光強度の変化として高感度に検出する方法である。測定試料を載せるステージには、試料に変形を与える方向の動きに加えて、微小球が試料表面を走査するための2軸ピエゾステージを設置した。測定試料がない状態で、光ピンセットを用いて捕捉したガラス微小球と金表面の距離を測定し、光ピンセット装置と融合した全反射減衰機構が単独の装置として達成した性能を発揮するように調整した。しかし光ピンセットに用いる強いレーザーの迷光が全反射減衰機構の測定に影響を与えることがわかった。装置の上流側に4つのミラーを置き光軸をできるだけ自由に調節することができる機能をもたせた。また表面プラズモンの励起に用いる光と光ピンセットに用いる光の波長が異なることを利用して、両者を分別する光学フィルターを設けた。一応の効果が得られたため、高分子試料に対してナノ力学測定を行う。力学測定に先だって、力を決めるための光ピンセットのバネ定数を、研究代表者が以前行った方法で評価した。力学測定を行ったところ光ピンセット自体のノイズから有意に力の大きさを取り出すことができた。
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