2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外光照射下における蛍光体酸化物薄膜の室温結晶成長
Project/Area Number |
21760018
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 智彦 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (50435749)
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Keywords | 蛍光体 / 酸化物薄膜 / 室温結晶成長 / 光照射プロセス / MOD法 / 光MOD法 |
Research Abstract |
蛍光体AVO_3(A : K,Rb,Cs)について塗布光照射法を用いた室温製膜手法の開発及びメカニズムの解明を行った。出発物質である金属溶液の選択、光照射時の反応のプロセスを分光測定によって評価し、室温で結晶化に至るための製膜条件を探った。これまで有効な有機金属溶液の詳細が不明であったが、種々の溶液を調査したところ、2エチルヘキサン酸塩系溶液が非常に有効であることが明らかになってきた。紫外線照射下における反応過程も詳細に調べた。照射波長・強度・雰囲気を様々な状態に制御して照射実験を行ったところ真空紫外線領域の波長の光を空気中(酸素を含む雰囲気中)で照射する場合にのみ反応活性となり、結晶化が促進されることが分かった。また、これらの結晶化条件はどれか一つが欠けても結晶成長が進行しないことも明らかとなり、合わせて考察すると真空紫外線照射下で起こる2つの効果、すなわち短波長の光照射による金属-炭素結合の切断と雰囲気中の酸素が光を吸収して活性酸素とオゾンになり、その強い酸化作用により酸化物の結晶成長が格段に促進されることが分かった。また、これらの知見を生かして3元系酸化物Zn_3V_2O_8にも本手法を適用し、その結晶化を確認した。本物質は通常AVO_3よりも300℃以上も高温で結晶化が進行する物質であり、室温光照射のみで結晶化が確認できたのは非常に興味深い結果である。22年度はこれらの結果を踏まえさらなる物質展開、プロセスの機構理解を進めたい。
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