2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760254
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 隆英 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (10345390)
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Keywords | 集積回路 / 低雑音増幅回路 / 発振回路 / アクティブインダクタ / 無線通信システム / 雑音 |
Research Abstract |
本研究は、集積回路において非常に大きな面積を占めるインダクタを用いることなく無線通信用の集積回路を構成し、無線通信システムの小型化を目的としている。研究計画の2年目にあたる平成22年度は、以下の2項目について検討を行い成果を得た。 無線通信システムを構成する様々な回路ブロックのうち、インダクタが重要な役割を果たす発振回路及び低雑音増幅回路に着目し、それらをインダクタを用いずに構成した場合の特性改善を行った。無線通信システムにおいて局部発振器として用いられる発振回路は位相雑音特性が重要であるが、インダクタを用いない場合共振回路を構成することができないため、実用にはその改善が必要となる。位相雑音は回路の内外で生ずる様々な雑音に起因する。そこで、スイッチング動作を行うMOSFETが生ずる雑音を打ち消す回路構成を採用した弛張発振回路を提案し、その特性を評価した。提案回路は従来の構成に比べ-3 dBc/Hzの位相雑音の改善に成功した。低雑音増幅回路についても同様に回路内部で雑音を打ち消す回路構成を検討し、与えられた仕様に対して雑音を最小とする設計手法を明らかにした。 さらに、インダクタと同様のインピーダンスを小面積で実現可能なアクティブインダクタの特性改善を行った。アクティブインダクタはMOSFETで構成するため、歪特性が問題となる。そこでバイアス電流源を入力信号に応じて変化させることにより歪特性を改善した新たなアクティブインダクタの構成を提案した。提案回路の全高調波歪は従来回路に比べ約15%の改善を実現した。 これらの成果は電気学会電子回路研究会にて発表し、高い評価を得ている。
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