2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形性・不確かさ・むだ時間を含むシステムの量子化制御
Project/Area Number |
21760329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 俊一 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (40420400)
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Keywords | 量子化制御 / ハイブリッドシステム / むだ時間 / 非線形システム |
Research Abstract |
これまでの制御理論研究において対象としていたシステムは,入出力信号が連続的な値(連続値)となるものであった.一方,現実のシステムでは,入出力信号が離散的な値(離散値)となる場合も多い.たとえば,ON/OFF型の電磁弁がアクチュエータとして使われる場合が代表的である.このような離散値信号を含む動的システムの制御「量子化制御」は,ハードウエアの限界を超える機能を制御アルゴリズムとして実現するものであり,エコロジー化・知能化・ナノ化といった次世代型の社会的要求に対する制御工学からの回答のひとつとなる.このような背景のもと,本課題では,実応用を志向した新たな量子化制御理論の確立を目指して研究に取り組んでいる. 本年度は,(1)非線形システム,および,(2)不確かさを含む線形システムに対し,量子化制御器の設計法の開発を行なった.(1)に関しては,入力アファインなシステムを対象として,最適制御器の導出に成功した.本結果は,(やや限られた場合ではあるが)大域的に最適なものとなっており,高性能な量子化制御器の本質を明らかにするようなものとなっている.(2)に関しては,パラメータ依存型線形行列不等式を利用した実用的な設計手法の開発を行なった.この結果は,最適性を数学的に証明できるものではないが,数値実験を通して有用性の確認ができている.また,DC/ACインバータの高効率化制御への実応用にも取り組み,従来のPWM型制御器に比べて,良好な性能が得られることを明らかにした.
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