2009 Fiscal Year Annual Research Report
幕藩体制期の政治変動にともなう武家地の空間的変容に関する研究
Project/Area Number |
21760503
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 馨 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 助教 (00432419)
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Keywords | 都市史 / 空間史 / 武家地 / 政治史 / 城下町 |
Research Abstract |
本年度は3年間の研究期間の初年度として、申請書にもあるように、江戸における武家屋敷地移動の全体的把握にむけての基礎作業を重点的に行った。まず武家地に関する諸先行研究を整理し、重要な文献はこれを購入し、あわせて史料蒐集も行った。また活字化されているものについては導入したドキュメントスキャナを利用して電子化し、活用の便をはかっている。未刊行史料については、国立国会図書館や国立公文書館に所蔵・架蔵されている武家関係史料を閲覧・データ化を行っている。 具体的な作業内容としては、政権交代期における屋敷拝領を総体として把握するため、拝領年月日、拝領地、坪数、拝領者の名前・役職・知行高、従前の拝領者の名前・役職・知行高・移転先などをExcelファイルに逐次入力している。今年度までに完了した作業は以下のとおりである。(1)徳川政権成立期(天正18年~寛永13年、1117件)、(2)綱吉政権成立期(延宝8年8月~貞享5年、709件)、(3)家宣政権成立期(宝永元年12月~宝永6年、1280件)、(4)吉宗政権成立期(正徳6年5月~享保10年、1497件)。これにより、近世初期から中期にかけてのとくに重要な政権交代期における武家屋敷流動について、現状可能な範囲での全貌が明らかになった。今後は近世後期・幕末期などの動向を分析するほか、日記史料・大名家史料など個別事例の分析をとおして、より立体的な分析を心がけたい。上記のように、江戸期における屋敷拝領の事例はきわめて膨大な件数があるため、基礎作業には多くの時間を要するが、2年目から3年目にかけてこれらの分析成果を整理し、論考としてまとめていきたいと考えている。
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