2011 Fiscal Year Annual Research Report
超音波流速計を用いたメタンハイドレート湧出量計測手法の開発
Project/Area Number |
21760670
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新井 励 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (60508381)
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Keywords | メタンハイドレート / メタンプルーム / 海中音響 / ADCP / 海洋計測 / 水中モニタリング / 音響計測 / 音響伝播 |
Research Abstract |
メタンハイドレートは石油・天然ガスに代わる次世代資源として注目されており,日本近海にも、相当量のメタンハイドレートが分布していると推測される.これらメタンハイドレートの開発を目前に控え,開発工事にともなう海底生態系に及ぼす環境影響評価を事前に実施する必要があるが現地討測データが明らかに不足しているのが現状である.そこで,本研究では開発前の現地におけるメタン噴出の動態を計測する現地計測手法の開発を行う. ADCPより海水に放射された音響エネルギーは1)音波の拡散による減衰2)海水自体に吸収3)懸濁物質による減衰を受けながら伝搬していく.前年度は、これらの音響伝搬過程を物理モデルにより表現することで海水中の気泡から散乱されADCPにより受信される音波の強度の理論式を構築した. 本年度は、メタンプルームが発生しているとされている海域付近において、ADCPにより計測された散乱強度データに、本研究で開発したで音響伝播モデルを用いることでメタンプルームの影響を検証した。しかしながら、計測データからメタンプルームの存在を確認することは出来ず、ADCPの計測領域内にはメタンプルームが発生していない結果となった。そこで、現在メタンハイドレートと同様に注目されている海洋資源である海底熱水鉱床が存在する海域に注目した。沖縄県伊是名海穴には熱水鉱床が存在し、海穴内には高濁度水隗が存在していることが確認されている。熱水鉱床開発に向けて事前に環境影響評価をするうえで、この高濁度水隗の挙動を把握することが重要視されている。しかしながら、挙動の把握はおろか時間的・空間的に十分に計測されていないのが現状であった。そこで、本研究で昨年度開発した音響伝播モデルを、当該海域においてADCPにより計測されたデータに用いることで海穴内における高濁度水隗の挙動を把握することに成功した。
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