2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオンマイクロビームによる微小アスベスト肺組織三次元診断技術の開発
Project/Area Number |
21760714
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐藤 隆博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (10370404)
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Keywords | 加速器 / イオンビーム / 微量元素分析 |
Research Abstract |
最終年度の平成23年度は、(1)三次元分析のためのアスベスト肺試料調整、(2)検出器等のイオンマイクロビームラインへの組み込み、(3)画像再構成法の再検討を行うとともに、その成果を(4)国際学会等で発表することを計画した。(1)については、微小なアスベスト肺組織切片を測定試料とするためにφ100μmという極細のポリイミドチューブに固定する技術を開発し、(2)についてはmicro-PIXE(particle induced X-ray emission)とsTIM(scanning transmission in microscopy)の同時測定を実現する円形のOn-off axis STIM検出器を設計・製作し、実際にアスベストの主成分であるケイ素が肺組織中に三次元的に分布している様子の測定に成功した。また、(3)については、PIXEのイベントからML-EM(maximum like lihoode xpectation maximization)法を用いて微量元素の分布を三次元的に画像再構成する手法において、数値モデルを用いた計算によって詳細に検討を行い、リンなどの軽元素と鉛などの重元素では試料表面の濃度が過大に見積られることや、STIMの測定結果を用いてビームエネルギーや発生したX線の減衰を考慮することでより正確な定量を実現できることを示した。以上、3年間の研究目標であった、イオンマイクロビームを用いた微量元素の二次元分布測定方法であるIn air micro-PIXE分析とSTIM及びCT(computed tomography)技術を組み合わせた三次元微量元素分布測定による100μm以下の微小なアスベズト肺組織試料中め三次元微量元素分布測定技術をほぼ確立し、(4)として、これちの成果を、7th International Symposium on Bio-PIXEで口頭発表した。
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