2010 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の新規セントロメア形成系の構築と形成関連因子の解明
Project/Area Number |
21770009
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐藤 浩 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助教 (00421313)
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Keywords | セントロメア / 染色体 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
本研究は不明な点の多いセントロメアの形成機構を、染色体の構造改変を利用して明らかにするというものです。モデル生物の分裂酵母を用い、我々が作製した2本の染色体が融合し、セントロメア配列を2つ保持しながら、一方のセントロメアが機能を失った融合染色体(シュードダイセントリック染色体)から、新規のセントロメアを作製させる実験系の構築を行いました。新規のセントロメア作製手法として、シュードダイセントリック染色体の活性のあるセントロメアの破壊を行いました。セントロメアの破壊は、セントロメア両側にloxP配列を挿入し、Creリコンビナーゼによる組み換えによりセントロメアをループアウトさせ、ループアウトした株をマーカー遺伝子により選択しました。この際の生存株において、不活性化しているセントロメアの再活性化は起こらず、すべてで本来のセントロメアでない領域がセントロメア活性を持つネオセントロメアを形成しました。シュードダイセントリック染色体の不活性化されたセントロメアは、本来のセントロメアと異なり、その部分がヘテロクロマチンによっておおわれていることがこれまでの研究により分かっています。このヘテロクロマチンができなくなる変異体(△clr4)では、セントロメア破壊により、不活性化したセントロメアの再活性化が観察されました。さらに、ピストンの脱アセチル化酵素の破壊株(△clr3,△sir2)においても同様の再活性化が観察されたことから、ヘテロクロマチンやピストンの脱アセチル化といったピストンの修飾が不活性化セントロメアの再活性化抑制に重要である事が示されました。このようなセントロメア化能力のある領域の抑制機構はほとんど解明されておらず、この発見はセントロメアの形成制御を理解する上で非常に重要であると考えます。
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