2010 Fiscal Year Annual Research Report
脱凝集活性を持つ分子シャペロンClpBの構造変化と機能
Project/Area Number |
21770151
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡辺 洋平 甲南大学, 理工学部, 講師 (40411839)
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Keywords | 分子シャペロン / 凝集体 / 脱凝集 / ClpB / AAA / DnaK |
Research Abstract |
ClpBは、AAA+タンパク質ファミリーに属する分子シャペロンで、他の分子シャペロンDnaKとその補助因子であるDnaJ、GrpEと協力することで、一度凝集したタンパク質を再生すること(脱凝集)ができる。ClpBは、Nドメイン、AAA1、ミドルドメイン、AAA2、の4つのドメインからなるサブユニットが、リング状の6量体を形成して働く。その際ClpBは、凝集したタンパク質をそのリングの中央の孔に通す(糸通し)ようにしてほぐすといわれている。 ClpBのNドメインは非常に可動性が高いことが知られている。これまでの研究で、ジスルフィド結合により、Nドメインの動きを制限すると、基質との親和性はそのままで、脱凝集活性が低下することを示してきた。今回、この脱凝集活性の低下の原因のひとつが、糸通し活性の低下によるものであることを明らかにした。 また、ClpBは、他のAAA+タンパク質と同様に、アルギニンフィンガーと呼ばれる高度に保存されたアルギニン残基を、2つのAAAドメインそれぞれに持つ。これらのアルギニン残基をアラニンに置換した変異体を作製し、影響を見た。その結果、いずれのアルギニン残基も、ATPの結合には関わらないが、それぞれのAAAドメインでのATPの加水分解には必須であることが分かった。さらに、AAA1のアルギニンフィンガーは、AAA1へのATPの結合に依存したClpBの6量体構造の安定化に重要であることを明らかにした。
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