2011 Fiscal Year Annual Research Report
脱凝集活性を持つ分子シャペロンClpBの構造変化と機能
Project/Area Number |
21770151
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡辺 洋平 甲南大学, 理工学部, 講師 (40411839)
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Keywords | 分子シャペロン / 凝集体 / 脱凝集 / ClpB / AAA |
Research Abstract |
分子シャペロンClpBは、別の分子シャペロンであるDnaKとその補因子と協力し、熱などのストレスにより変性、凝集したタンパク質を再生することができる。ClpBはAAA+タンパク質の1つで、N末端ドメイン、AAA1モジュール、Mドメイン、AAA2モジュールからなるサブユニットがリング状の6量体を形成し、ATPの加水分解のエネルギーを利用して働く。また、凝集したタンパク質をほぐす(脱凝集)際、凝集タンパク質を6量体リングの孔に通す(糸通し)といわれている。 ClpBの6量体リングは不安定で、タンパク質濃度、塩濃度、温度、ヌクレオチドの結合状態に応じて、解離会合を繰り返している。この不安定さは、ClpBが効率的に脱凝集を行うために必要ともいわれているが、一方で、ClpBの機能解析を非常に複雑で困難にする。これまでに私たちは、ClpB6量体リング内の隣り合うサブユニットをジスルフィド結合で固定することにより、サブユニット2つをつなげた固定化2量体ClpB、サブユニット6つ全てをつなげた固定化6量体ClpBを作成している。今回これらを用いて、脱凝集反応におけるClpBサブユニットの解離会合の重要性を検証した。 固定化2量体ClpBは野生型に比べ6量体構造を安定に維持することができる。生理的な条件において、固定化2量体の脱凝集活性は野生型よりも低かったが、6量体構造がより不安定になる高塩濃度条件下では、野生型よりも高かった。また、固定化6量体では、いずれの条件においても脱凝集活性は著しく低下しており、効率的な脱凝集反応にはClpB6量体の適度な解離会合が重要であることが示唆された。
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