2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス四肢再生を目指した皮膚繊維芽細胞と人工傷表皮に関する研究
Project/Area Number |
21770244
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 哲也 愛知学院大学, 教養部, 講師 (90399816)
|
Keywords | 再生生物学 / 四肢再生 / 哺乳類 / 器官培養 / 創傷治癒 / 繊維芽細胞 / 傷表皮 |
Research Abstract |
切断した四肢に人工的に傷表皮形成を誘導するため、四肢組織や尾部組織の器官培養を行った。特に尾部組織は四肢と比べ皮膚と筋・骨組織との結合が密であるため、切断後の皮膚収縮の程度が少ない。そのため四肢組織よりも安定した条件で実験ができることから、主に尾部組織を用いて傷表皮やAEC形成の有無を解析した。 組織切片上では切断・培養開始後1日目から、移動してきた表皮細胞を切断面中央部で観察することができたが、whole-mountのtrypan blue染色の結果、実際に表皮がシートを形成しているのは周辺部から約200μm、2日目で約300μm、3日目で約500μmであった(切断面直径約2mm)。従って培養3日目においても多くの標本では中央部での表皮シート化が完全には終了していないことが分かった。ただし低頻度ではあるが、培養2日目から、表皮が切断面を完全に覆っている標本も見られることから、切断面が平らであるなど、何らかの最適条件下では最短2日で傷表皮の形成が完了すると思われる。 培養液中に様々な成長因子(FGF1,FGF2,FGF7,FGF10,TGFβ1,TGFβ3)を加えて、傷表皮形成の変化を調べた。各成長因子を添加した際の、AECマーカーとなる遺伝子(fgf8,sp9)の発現量をリアルタイムPCRで比較したが、有意な変化は観察できなかった。しかし形態的には、通常は細胞1-2層の傷表皮が、FGF7やFGF10を添加した際には肥厚化する傾向が見られた。現在、これを定量化して比較することを検討している。
|