2011 Fiscal Year Annual Research Report
有毒渦鞭毛藻ディノフィシスが捕食する繊毛虫およびその餌料生物の多様性と分子系統
Project/Area Number |
21780191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西谷 豪 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (70450781)
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Keywords | 下痢性貝毒 / Dinophysis / 分子生態 / 餌料生物 |
Research Abstract |
【成果の具体的内容】 本年度は有毒渦鞭毛藻Dinophysis mitraの餌料生物の探索を試みた。青森県陸奥湾より、何らかの餌料生物を摂食した直後であると思われるD.mitra細胞を現場隣接の実験室内で単離し、即座に全DNAを抽出した。この抽出物中には本体であるD.mitraのDNA以外にも餌料生物のDNAが含まれているはずであり、18SrDNAをターゲットにしたユニバーサルプライマーにてPCR増幅とクローニングを行った。また、同様にして広島県広島湾より単離したDinophysis acuminata, Dinophysis fortiiについても餌料生物の解明を試みた。まずD.mitraの結果であるが、クローニングにより得た277配列のうち181配列はD.mitra本体のものであったが、残りの96配列は他生物のものであった。それらは繊毛虫・鞭毛虫・黄金色藻・珪藻など多岐の分類群にわたるものであった。D.mitraがこれら全てを餌料にしているのか、あるいは媒介者の存在があるのかどうかは今後の課題であろう。D.acuminataとD.fortiiの細胞内からは、他生物のDNAとして繊毛虫のMyrionecta rubraのDNAのみが検出された。この結果は上記2種が現場海域において特定の繊毛虫を選択的に摂食している可能性を示唆している。 【意義と重要性】 有毒渦鞭毛藻であるDinophysis属の餌料生物を解明することにより、現場におけるDinophysis属の増減をある程度予想することが可能になるであろう。また餌料生物の解明により室内での培養が可能になり、Dinophysis属の生理生態をさらに詳細に把握することが可能となる。これらの成果は下痢性貝毒発生のメカニズムの解明、そして安全な二枚貝の養殖産業に大きく貢献するものである。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 海洋プランクトン2011
Author(s)
西谷豪、山田雄一郎
Organizer
森は海の恋人シンポジウム「海と共に生きる」
Place of Presentation
仙台市民会館(招待講演)
Year and Date
2011-12-21