2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞利用技術を支援する培養器材開発のための高分子表面の複合機能化
Project/Area Number |
21790038
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
笹井 泰志 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (60336633)
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Keywords | ポリスチレン / 原子移動ラジカル重合 / プラズマ加工 / 高分子表面機能化 / バイオインターフェイス / 細胞培養 / 生体分子固定化 |
Research Abstract |
本研究は、機能性細胞培養基材開発を目的としたポリスチレン(PS)基板の表面機能化に関するものである。本年度は、化学的に不活性なPS表面に化学修飾可能な官能基を有する高分子グラフト層を構築するための方法として、リビングラジカル重合法の一つである原子移動ラジカル重合法(ATRP)の適応について検討を行った。まず、ATRP開始剤となる臭化アルキル基をPS表面に導入するために、プラズマ表面処理によりPS表面の化学構造変換を行い、その後、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)を反応させることによるPS表面の臭素化法を確立した。X線光電子分光法(XPS)を用いた表面分析の結果、本方法によりPS表面が臭素化されていることを明らかにした。PS表面にカルボキシル基を導入する目的で、この表面からアクリル酸ナトリウム(SA)のATRPを試み、触媒となる金属錯体の選択などについて検討を行った結果、N,N,N',N",N"-pentamethyldiethylenetriamineと臭化銅との金属錯体を用いたとき、ATRP時間依存的なポリアクリル酸ナトリウム(PSA)のグラフト鎖長の制御に成功した。たとえば、2時間のATRPでは、PS表面に約15nmol/cm^2の多量のカルボキシル基を導入することが可能であった。PSは、一般的な有機溶媒に可溶であり、水系での本PS基板修飾法の開発は、成型加工が容易で安価なPSを利用する機能性材料の開発に有益を考えられる。本研究では、さらに、PSAグラフト化PSの表面カルボキシル基を介して細胞表面のインテグリン受容体と親和性の高いRGDアミノ酸配列を含むGRGDSペプチドを固定化し、PS基板表面における細胞足場の構築について検討を行った。ペプチド導入PSAグラフト化PS表面における細胞接着性をマウス胎児由来NIH3T3細胞を用いて評価した結果、無血清培養条件下においても良好な細胞接着性が認められ、さらに本基板表面における細胞接着性は、細胞表面によるRGDアミノ酸配列の特異的な認識に起因することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)